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ロシア対NATOのにらみ合いは一触即発

ロシア対NATOのにらみ合いは一触即発

 

2月下旬に欧州連合(EU)によるギリシャへの金融支援が継続されるかどうか世界の注目

が集まっていた最中、バルト三国の一つ、エストニアの国境付近では2月25日、ロシア

軍が5日間の日程で軍事演習を行い、それが空挺部隊役1500人がパラシュート降下し、

仮想敵軍の飛行場を奇襲して破壊するとともに、敵軍兵士を捕虜とする内容で、ほと

んど奇襲作戦のような攻撃的な軍事演習だったのです。

 

軍事演習が軍事演習として片付けられないのは、演習と見せかけて、実際に戦争を始

める可能性があるからなのです。1996年、「台湾海峡危機」の際には中国軍が台湾海

峡沿岸部に演習という名の下、大量の部隊を終結させ、米軍が粟を食ったという事態

がありました。このとき、米軍は急遽空母部隊2個を展開させ中国軍の暴走を食い止め

ました。

 

そのようなことに類する事態がエストニアで起ころうとしていたのです。ロシア軍の

演習の前日の24日にNATO軍は機先を制するようにエストニア東部のロシアとの国境

に接する都市ナルバで軍事パレードを行い、そこには星条旗も掲げられていました。

 

しかし、仮に25日にロシア軍が演習の名を借りてエストニアに侵攻したとした場合、

エストニアに展開するNATO軍の戦力ではそれを阻止するのは極めて厳しいというのが

現状なのです。そのために、NATO軍は仮にエストニアにロシア軍が攻め入ったときに

集団的自衛権を発動し、全力でこれに対して報復する、という気概を見せる所謂

「仕掛け線」戦術を行う必要があったのです。それがエストニア東部でのNATO軍のパ

レードの意味するところです。

 

しかし、ロシアのプーチン大統領は、その後、クリミア併合時に必要ならば核兵器

使用を考えていたという趣旨の発言をし、物議を醸しています。その発言はロシアが

一歩も退く考えがないという意思を見せるための脅しに過ぎにないのかもしれません

が、欧州は現在、ロシア対NATOとの間で冷戦時以降最悪の関係状態を迎えています。

プーチン大統領核兵器使用発言は、NATO軍の分断を狙ったものとみられ、つまり、

ロシアが核兵器を使用するといえば、NATOの中でロシアに対する足並みが乱れ、

NATOの結束が分断されるという事態になりかねず、そうなればロシアの思う壺なので

す。

 

現状を受けて、リストニアでは徴兵制が復活し、ポーランドでは有事の際の市民を守

る「民間防衛組織」があちこちにできていて、臨戦態勢の様相を呈しているようで

す。

 

また、ロシアがウクライナ東部で事を起こせば、原油・ガスの価格が値上がりし、ロ

シアが潤うという見方もあり、欧州から目が離せません。欧州ではイスラム過激派組

織ISIL(イスラム・ステート)に参加した若者が本国に帰って起こすかもしれないテロ、

そして、ドイツの旅客機の墜落事故の衝撃、そして、ロシアの脅威と難題が山積して

います。

 

翻って日本に目を向ければ、ロシアが何か事を起こせばそれに乗じて中国が何かを始

める可能性は排除できません。つまり、火事場泥棒を中国が行わないという保証はど

こにもないのです。欧州の危機は東アジアにとっても他人事ではなく、日本も襟を正

して世界情勢を見つめなければなりません。