年金情報流出、謎が深まるばかり
日本年金機構がサイバー攻撃を受けて約125万件の年金情報が流出した問題は、最初に
ウイルスに感染したことが解かってからウイルス対策をしたにもかかわらず、パソコ
ンがウイルスに次々と感染し、感染が拡大してきたということが解かってきていて、
「何故?」という疑問が新たに浮上してきました。専門家からは「見逃した“隠れウイ
ルス”があったのではないか」との指摘もあり、謎は深まるばかりなのです。
年金機構によりますと、5月8日に最初にウイルスに感染が解かったのは新種のウイル
スで、それを解析したセキュリティ会社は5月15日、「外部に情報を漏洩するタイプで
はない」との結果を報告しています。年金機構は、ウイルス感染を防ぐソフトを各パ
ソコンにインストールして、対策は万全の筈だったのです。しかし、5月18日に100通
以上の不正メールが非公開の職員のメールアドレスに届いたと言います。
セキュリティのある専門家はここで「最初に届いたメールに複数のウイルスが仕込ま
れていたのを見逃したのではないか」と指摘しています。そこで、未発見のウイルス
が駆除されないままに残り、他のパソコンにも次々と感染していたのではないかと推
測されると言います。
情報セキュリティ会社のカスペルスキーは、年金機構の被害に関して昨秋から政府関
連組織や企業に少なくとも数十の組織が狙われた攻撃の一環である可能性があるとみ
ています。
また、一連のプログラムの中には中国語の簡体字を遣った形跡があり、中国語を遣え
る人物が関係している可能性が高いとみられています。年金機構ではウイルス感染を
確認した8日から6月1日の公表までに、情報が流出した人から住所変更などの届け出が
計436件あったと言います。これは「流出情報を入手した人物が、受給者になりすまし
て年金を受け取ろうとした可能性がある」と言います。
さらに、年金情報流出に乗じた詐欺らしき不審な電話が各地でかかってきているとい
うことが報道されていて、この年金情報流出の問題は、まだ、しばらく尾を引きそう
です。