ランドセルが世界的に流行の兆し
日本固有のものの一つにランドセルがあります。このランドセル商戦が現在非常に熱
いと言われています。6月12日付の日本経済新聞電子版の記事『なぜ早まるランドセル
商戦? 「ガラパゴス」考現学』という記事にその内情が詳しく書かれています。その
中で日本のランドセルは日本特有の社会構造、文化、機能が詰め込まれた究極の「ガ
ラパゴス」商品でありながら、現在、ランドセルはクールジャパンの強力なコンテン
ツとして海外から熱視線を浴びているのです。
ランドセルが生まれたのは江戸時代末期のこと。徳川幕府が様式軍隊制度を導入する
のに伴い、オランダの布製のリュックサックを取り入れたのがきっかけなのです。ラ
ンドセルとはオランダ語の「ランセル」が訛ってランドセルになったようなのです。
そして、現在のランドセルの原型は1887年に、当時の内閣総理大臣の伊藤博文が皇太
子(大正天皇)が学習院初等科に入学したお祝いに特注の皮革製の箱型ランドセル(学習
院型ランドセル)を献上したのが始まりと言われています。
ランドセルは実に機能的にできていて、また、丈夫です。ランドセルを背負えば両手
は自由に使えることや、転倒した場合のクッションの役割をして安全面でも優れてい
ます。このために、伊藤博文の献上以来、都市部を中心にランドセルは次第に普及
し、高度成長期の到来と団塊の世代の就学に伴って全国に広がったのです。
そのランドセルは、現在、クールジャパンの重要なコンテンツとして熱視線を浴びて
いるのです。海外からの訪日客がたくさん買ってゆくというのです。これは日本のア
ニメの影響で、自分が使うために買ってゆく人が多いのだそうです。例えば、赤いラ
ンドセルを颯爽と背負う写真をブログに載せている米女優のズーイー・デシャネルさ
んなど、現在、日本のランドセルは「格好いい」ものとして海外から熱視線を浴びて
いるのです。究極の「ガラパゴス」商品がクールジャパンの重要なコンテンツになる
というのは、皮肉であり、また、当然のことに思います。何故ならば、グローバリゼ
ーションの中で、地域が生き残るには究極のローカルなものが地域の強みとなるのは
自明のことで、「ガラパゴス」商品が世界から熱視線を浴びるのは何ら不思議なこと
ではないのです。