差し迫るギリシャ問題
6月19日未明現在、欧州委員会のドムブロフスキス副委員長はギリシャとユーロ圏財務
相会合で、ギリシャ支援を巡る合意が得られなかったとTwitterで呟き、まだ、欧州と
ギリシャとの溝はなお深いようです。どうも、ギリシャはもう半ばデフォルト(債務不
履行)に陥っても構わないと覚悟を決めたかのようにも見えます。
ギリシャ国内では年金の金額の減額などを欧州連合(EU)、特にドイツから突きつけら
れ、しかし、もう我慢できないと緊縮財政などの締め付けを拒否する形で総選挙で選
ばれたチプラス首相は国内向けに最早EUの言い分を聞くことができないと、駄々っ子
のように振舞っていて、現在、ギリシャが置かれている現実に目をつぶっているの
か、チプラス首相がEUの要求を頑として撥ねつけているのが現状です。
しかし、ギリシャの言い分も解からなくはないのです。ところが、国家による粉飾決
算を行っていたギリシャができることは物凄く限られていて、もう、国内のなお一層
の締め付けを行わない限り、ドイツは納得しません。この状況下でも、何かの抜け道
があるかのような幻想をチプラス首相が考えているとしたならば、ギリシャのデフォ
ルトは確実で、欧州圏にとっては大きな問題になること間違いなしです。それでもEU
がギリシャに対して厳しく迫っているのは、仮にギリシャに対して手綱を緩めてしま
うと、スペイン、イタリア、アイルランド、ポルトガル等々、次々とギリシャと同じ
ように振舞う国が出て来ることを一番の債権国であるドイツは恐れているのです。
期限は月末に迫っています。国際通貨基金(IMF)への十六億ユーロの支払いを滞った場
合は、ギリシャはデフォルトに陥ります。さて、このまま、ギリシャとEUとの合意が
得られない場合、世界経済に少なからぬ影響が出て、ユーロに対して懐疑的な見方が
広がり、日本においては円高になると言われています。ギリシャはデフォルトに陥る
ことを善しとしているのかどうかは今月末までにははっきりとしている筈です。