「クロダ・ショック」
日銀の黒田東彦総裁が衆議院の財務金融委員会で「さらに円安が進むことはありそう
にない」などと述べたことにより、円が急騰しました。甘利明経済産業担当大臣は6月
10日夜に行われた記者会見で、黒田総裁から、「趣旨が若干、曲解されて市場に伝わ
ってしまった」と説明されたことを明らかにしました。
しかし、黒田総裁の発言一つで、円が急騰するこの現実は、健全なのかどうかが解か
らずにあるということがこの急激な円高を呼び込んだようにも思えるのです。日銀総
裁とはいえ、たった一人の何のことはない発言が誇大解釈されて、外国為替市場で円
が急騰するという現実に、一番驚いたのは当の黒田総裁に違いありません。それほど
に円は余りに不自然な急騰をしたのです。外為市場では、ひと儲けしようとする人た
ちが犇めいていて、何でも理由を付けて市場を揺り動かすことに精を出している海千
山千のものの、若しくは、歴戦の強者どもが一攫千金を狙っているのです。それ故に
黒田総裁の発言は格好の餌食となり、円の急騰を招くことになりました。
しかし、これは一過性のものかもしれず、さらに局面局面で海千山千のものたちが、
円を売り抜けようと手ぐすね引いて待っているのです。
このように市場というものは一寸先は闇で、何かほんの少しのことが針小棒大に捉え
られ、それがさらに大渦を巻き起こすように怒涛を生む金融市場というものは、素人
が手を出すと大火傷をすることは避けようがありません。たぶん、今回の円の急騰で
大損をした人は数多くいるに違いなく、それらの人たちは損を取り返そうと市場の動
きを凝視し、さらに強者どもの攻防が繰り広げられることになるに違いないのです。
唯、今回の円の急騰は一過性に終わるのか、それともトレンドになるのかは、まだ、
現時点ではよく解かりません。